Leader's Voice

「意思決定の支援」と「選ばれる理由」をつくる。異なる事業領域の循環が、グループの真価を生みだす。

2026/09/10

グループ会社でリサーチ・インサイト事業を担うクロス・マーケティングと、デジタルマーケティング事業を担うエクスクリエやREECHがつながると、「何をするべきか」の意思決定をする上流から、「それをどう市場に届けて生活者を動かすか」という下流の実行、さらにデータで効果を検証することで一本の線としてつながる円環プロセスになります。クロス・マーケティンググループ(以下、CMG)の真価とは何か。クロス・マーケティングの経営企画室長である八重柏匡史と、エクスクリエのプランニンググループ・マーケティンググループ責任者の長谷川孔介に話を聞きました。

八重柏 匡史 × 長谷川 孔介 対談メイン画像

対談者プロフィール

  • 八重柏 匡史(写真右):株式会社クロス・マーケティング 経営企画室 室長 兼 カスタマーソリューション本部 副本部長。2008年新卒でクロス・マーケティングに入社。エンジニア、営業、新規事業立ち上げ、子会社の経営を経て現在に至る。
  • 長谷川 孔介(写真左):YouTube制作会社などを経て2025年キャリア入社。株式会社エクスクリエではプランニンググループ・マーケティンググループ 責任者として戦略立案と事業推進を統括。さらに、株式会社REECHにてインフルエンサー事業全体を管掌するなど、3社・4事業部を横断して経営および事業責任を担う。

顧客の「意思決定」を支援し、生活者に「選ばれる理由」をつくる

――― リサーチ・インサイト事業とデジタルマーケティング事業、それぞれがグループの中で担う役割を教えてください。

八重柏: よく私たちは「リサーチ会社」という見られ方をします。しかし、私は本質的に「顧客の意思決定のための情報をつくる会社」だと思っています。新商品を出すのか、ターゲットは誰か、価格や広告はどうするのか。企業活動は、常に意思決定の連続です。その前段階にある「何を根拠に決めるのか」という土台をつくるのが、リサーチ・インサイト事業の役割です。アンケートやインタビューは、そのための手段の一つです。

長谷川: 私が担っているデジタルマーケティング事業の提供価値は、生活者に「購入後のイメージを持ってもらい、“欲しい”を生み出すこと」、つまり生活者の中に「選ばれる理由」をつくることだと思っています。事例として、D2C寝具ブランドにおいてリサーチを実施し、生活者が抱える特定の睡眠の悩みやニーズと、寝具の機能と商品選択がどう結びついているのかというボトルネックを可視化。インフルエンサー起用を含むプロモーション設計のターゲットや訴求を再定義した結果、Amazonでの売上個数が月間平均で4倍、セール時には最大40倍へと急増しました。

リサーチ・インサイト事業が「人を理解する」ところを担い、デジタルマーケティング事業が「人が動く状況をつくる」。さらに施策後にもう一度データを見ることで、認知や態度、購買がどう変わったのかを検証して次につなげていく。調査で答えを出して終わるのでも、広告を打って終わるのでもない。「理解し、動かし、またデータから学ぶ」循環をグループ内で完結できる強みがあります。

顧客に対し「『できます』と言える範囲の広さ」

――― CMGは国内外合わせて30社以上の企業からなり、「1,600万人以上の生活者パネル」「年間20,000件超の調査実績」「7,900社超の取引実績」「世界10か国以上の海外拠点」という強みがあります。顧客との関係でこれを実感するのはどんなときですか?

八重柏: 日本最大級のパネルはニッチな対象者の声が拾えるということ、実績数はそれだけ多くの「社会の問いと答え」を見てきたという知見の蓄積、世界に拠点を持っていることは現地の文化的文脈を考慮した検証ができるインフラで、顧客に対して「できます」と言える範囲の広さに直結します。特に複数国にまたがる調査では、同じ質問用紙を翻訳して配るだけでは正しい結果は得られません。現地の市場や生活者文化を本当に理解しているスタッフが現地にいるというインフラは、お客様からも高い信頼を得ている理由の一つだと思います。

長谷川: 会社数もさることながら入社して印象的だったのは、北米・欧州・アジアまで広がるグローバルな事業基盤と、各カテゴリーにおける事業の強さ、それらを組み合わせたときのアセットの厚みです。国内外のリサーチ、プロモーション、インフルエンサー、IP、アプリ開発、HR、コンサル、AI活用支援など必要な専門性がグループ内にあり、一定の裁量を持って動けるので、企画から実行までの距離を短くできます。つまり、アイデアが「面白そう」で終わらず、チャンスを価値に変える力です。決まるのが速い会社は、動けるタイミングを逃さない。そこも、お客様に提供できる大きな価値だと思っています。

AI時代だからこそ高まる「人間の価値」 ――「調べる」から「決める・問う」へのシフト

――― セルフ型アンケートツール「QiQUMO」へのAI機能搭載や、AIチャットボットが回答者の本音を引き出し深堀する「Light Depth」など、調査プロセスへのAI活用も進んでいます。今後、社会や事業はどのように変化していくと思いますか?

八重柏: AIの本質的な影響は「価値が発生する場所を移動させること」だと捉えています。AI活用によって効率化された時間を、「問いの設定」と「意思決定」という、より本質的な思考プロセスに使えるようになり、お客様の相談内容も『調べたい』だけではなく、『どう決めるか』に近い相談が増えていると感じます。

長谷川: デジタルマーケティングの現場でも同じです。分析や広告運用、クリエイティブの最適化はAIが高速でやってくれますが、「生活者のわずかな変化をどう解釈するか」「ブランドとしてどの選択肢に賭けるか」を決めるのは、人間の「意志」です。CMGが約20年間、お客様と積み重ねてきた「膨大な失敗と成功の履歴や文脈データ」は、他社がどれだけお金を払っても短期間でコピーすることはできません。世の中に落ちていない生きたコンテキスト(文脈)があるからこそ、AIを組み合わせたときに生み出せる提案の精度や、意思決定の納得感が圧倒的に変わるんです。

挑戦を恐れないカルチャー ――「やればいいじゃん!」「未来をつくろう。」とは

――― グループの行動指針として「やればいいじゃん!」、「未来をつくろう。」を掲げています。これは具体的にはどのようなことですか?

八重柏: 私は基本的には「やればいいじゃん」と部下に任せるタイプです。「失敗しても戻せる範囲を、組織としてどこまで広く取れるか」という組織デザインの挑戦だと思っています。個人で1億円売ることももちろん重要ですが、その人がつくった仕組みで10人が1億円ずつ売れるようになれば、会社に対する価値はさらに大きくなる。管理職に近づくほど、そうした仕組み化への貢献も数字と合わせて見ていく必要があると思っています。

――― 八重柏さんが新卒でクロス・マーケティングに入社された2008年と比べると、グループ会社の数もビジネス領域もかなり大きくなりました。

八重柏: そうですね。同じ会社に18年いるけど、18年間ずっと同じ会社にいた感覚はありません。入社後、エンジニア、営業、新規事業、子会社経営、今の経営企画と役割が何度も変わっています。これは会社に必要なことと、自分が一番価値を出せそうな場所が変わった結果であり、その都度仕事を変えてきました。組織にとって、新しい人が入ることの価値は、新しい能力だけではなく、新しい見方、新しい認知が入ることでもあると思っています。

――― キャリア入社の長谷川さんはCMGのカルチャーをどのように感じていますか?

長谷川: 本当に「前例がないからやらない」という空気が一切ないことに驚きました。例えば、入社から1年のタイミングで、業界全体に向けた約1,000万円規模の大型オンラインカンファレンスを企画しました。過去に前例はなかったのですが、一定の勝ち筋と必要性を示すと、1年目の私にその莫大な投資と権限をすべて任せてくれた。裁量とは「好きにできること」ではなく、「自分で正解をつくれること」。大企業のような強力なアセットを持ちながら、ベンチャーのように前例のない挑戦に賭けられる。これが、CMGで働くことの最高に面白い部分です。

マーケティング企業の第一想起へ

――― CMGは、向こう5年以内に「連結売上高500億円、営業利益50億円」の達成を掲げています。その先にある「5年後の未来像」について、お二人のビジョンをお聞かせください。

長谷川: 売上500億という数字はあくまで通過点であり、結果にすぎません。本当に目指したいのは、社会やクライアントから「マーケティングの課題があれば、まずCMGに相談しよう」という第一想起(トップ・オブ・マインド)を確立することです。専門性を持つ30社超が連携し、生活者を理解するところから市場を動かすところまでをワンストップで解決してくれる「唯一無二のパートナー」として、CMGの名前が真っ先に挙がる状態をつくりたいですね。

八重柏: まったく同感です。「調べた」で終わらせず、その先の実行まで関わり、結果を検証して次の意思決定につなげるところまで、お客様と一緒に取り組んでいく。その先の、各社の能力を掛け合わせて、単純な総和以上の価値を創れているか、これからの私たちの最大の挑戦です。

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