クロスラボ チーフ・リサーチャーの岸田典子が第8回 世論・選挙調査研究大会で登壇

%e5%b2%b8%e7%94%b0%e3%81%95%e3%82%93%e7%99%bb%e5%a3%87_03

 埼玉大学社会調査研究センターの主催で、7月20日に実施された第8回 世論・選挙調査研究大会において、当社の研究機関であるクロスラボのチーフ・リサーチャー 岸田典子が登壇しました。

 今回の研究大会は、「調査の新潮流 - Webとモバイルと市場・世論・選挙調査」と題して行われ、インターネット調査におけるスマートフォン回答者の増加への対応とその課題、また2017年の衆議院議員選挙における調査について、議論が交わされました。

 岸田は2017年の衆議院議員選挙において、RDIT™(Random Domain Intercept Technology)というインターネット上の一般ユーザーをランダムに抽出する手法を用いた調査を実施し、RDIT™による調査の可能性と課題について講演を行いました。日本の選挙でRDIT™という手法を利用するのはこれが初めての試みです。

RDIT™について

 カナダのトロント大学のニール・シーマン教授(RIWI社CEO)によってインフォ・デミオロジー(情報疫学)の分野で開発され、グローバルかつリアルタイムで調査を実施できる新しいインターネット調査手法。調査対象に代表性をもたせることを担保するための最も重要な要素であるランダム性を重視している。
 インターネット調査の代表的な手法では、調査協力に同意したモニターから回答を得るが、RDIT™はモニターを利用せず、商標登録されていない大量のインターネット・ドメインを用いて、一般のユーザーにランダムに調査誘導画面を表出して回答を得る。
 これまでの手法による調査では調査対象になっていない一般のインターネットユーザーの回答も得られる。また、スマートフォンでも回答しやすいシンプルな質問設計により、デバイスを問わず幅広い層からサンプルを得られると考えられている。

RDIT™の実績について

 リアルタイムに24時間継続して調査が実施できるため、選挙期間中の有権者のマインドの変化を追うのに適しており、海外での選挙調査、選挙予測で実績をあげている。RIWI社はRDIT™の調査手法を用いて、2016年にイタリアの国民投票における得票率や、米国大統領選挙におけるトランプ大統領の当選とクリントン氏の総得票数リードについて正確に予測した。

2017年の衆議院議員選挙における調査について

 2017年10月に行われた衆議院議員選挙では、「アザー・キャスティング法」という質問方法で調査を実施した。これは、RDITの選挙予測で利用される質問形式で、対象者本人の選挙予測を問う。個人の意向ではなく、周囲の人の意向について質問することで、心理的負担を下げるとされている。
 今回の調査では、調査期間の動向について、自民党、与党(計)の上昇、希望の党の下降、立憲民主党の上昇など、報道内容と期を一にする動きが示され、この手法で継続的に選挙の動向のトレンドをつかむことが確認できた。
 「好ましさ」を問う質問では、全選挙区に候補者のいる与党(計)と自民党の総得票率(小選挙区候補者の所属する政党と比例代表での政党の合計投票数の比率)と調査結果がほぼ一致した。実際には死に票が存在し総得票数が議席数に反映されるわけではないが、「好ましさ」の指標は、本人の意識や意向を反映しており、総得票数の参考指標になると考えられる。

 今回の研究大会では、このような調査結果を発表すると同時に、限定された地域への対応や質問数などの面で現行の調査手法をそのまま代替するものではないとRDIT™の課題についても説明しました。
 その上で、岸田は「個人情報に対する警戒感の高まりなど調査における環境はますます厳しくなることが予想され、調査の対象範囲をインターネット利用者全体に広げ、かつランダムに抽出できるデータの価値は大きく、選挙の情勢を反映する新しい指標としてさらなる検証と活用を期待したい」と述べ、講演を結びました。

※「RDIT™」による2017年衆議院議員選挙予測調査の実施調査概要および調査結果の詳細については、こちらをご参照ください。
https://www.cross-m.co.jp/news/release/20171117.html

岸田 典子
株式会社クロス・マーケティンググループ クロスラボ チーフ・リサーチャー
クロス・マーケティンググループの新しいサービス・メニュー開発の主担当。 リサーチに関わるイノベーションに深い関心をもち、海外のリサーチ情報に詳しい。 インターネット調査の黎明期からサービス・メニューの開発に関わる。 定性・定量問わず、従来の調査手法だけでなく、グローバル調査や最新のリサーチ手法 (ニューロ、SNS分析、モバイル、コミュニティなど)まで幅広い経験をもつ。